ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD] 通販サイト


ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】 [DVD]

¥1,890
角川エンタテインメント

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不毛全書
 70年代の陰謀ものやギャングものを想起させる、映像の乾いた質感や、徹底的に見せることから逃げなかった虐殺シーン。善悪の構図など当然見えるわけがなく、敵と味方は互いが似たもの同士であることを知りながらも、その正義の距離は残酷なまでに遠い。
 スピルバーグらしい意匠を駆使し、シリアスでも揺るぎなくエンタテインメントに徹する姿勢は貫かれているものの、『ミュンヘン』に派手さは感じられず、観客には淡々と「不毛」だけが蓄積されていく。そしてそれは、一行が暗殺組織として成熟すればするほど、激しく迫っても来るのです。

 それはラストシーンにも強く感じることができます。ここでは流浪の民ユダヤ人であり、アメリカ人でもあるスピルバーグの「家族≠国家」観が色濃く出ているような気がします。
 何故中東問題が不毛かと言えば、互いの動機が似ていることにお互い気付いていながらも、殺し合うことを止められないことでしょう。そしてそれは愛国心へ自然な接続をします。
 でもスピルバーグは国家を切り離すことで、家族こそが、帰るべき国家たれ、と投げかけている。互いに国家を切り離して、相手やその家族を思いやることで、分かり合えないか、ともとれました。ガンジーが生きていた時代から今の世界情勢に至るまで、そんなこと夢物語なのは分かっていつつも。
2008-12-14
スピルバーグの違う一面が見れる作品。
 スピルバーグ監督はユダヤ人であることを非常に意識する監督でもある。「シンドラーのリスト」はいうまでもなく、「インディジョーンズシリーズ」や「プライベートライアン」でも彼の姿勢は明白だ。そんな彼がもっとイスラエル、パレスティナ問題について突っ込んだのが本作品。パパと呼ばれる怪しい情報屋や、各国諜報機関との駆け引きなど、政治スリラーとしての見どころをふんだんに取り入れているのは確かだが、主人公を非常に感情的に描いているところがポイントだろう。ユダヤ人として、テロ行為や、イスラエルの政策には反対メッセージを色濃く出した勇気は評価できる。が、他のナショナリズムや、宗教にはやや否定的だったり、ユダヤ人擁護のスタンスから作られた作品と観てしまう人も少なくないのではないか。映画として見るよりも、民族問題を考えさせられる作品ではある。
 アメリカ映画史はユダヤ系映画人の存在抜きには語れない。そんな中で、後世まで名が残るであろうこの大監督が敢えてこういう題材を取り上げたのも興味深い。もう彼は大人になった映画少年というだけの人物ではなくなっている。
2008-10-19
映像、演出が素晴らしい。さすがはスティーブン・スピルバーグ
 ミュンヘンオリンピック開催時にパレスチナ人にイスラエル人選手が殺され、その報復にでたイスラエルの報復諜報活動を描いた映画。家族を持つ一人の男性の視点から描かれる。
 報復(殺害)の仕方が様々でその演出の仕方に脱帽しました。電話に爆薬を仕掛けその電話にコールし相手が出たら起爆する。しかしターゲットの娘が忘れ物を取りに戻ってきてその電話に出てしまう。それを知らない起爆班はスイッチを押そうとするが電話をかけた主人公は中止するよう起爆班のもとに必死に走っていく。自分にも子供が生まれようとしている主人公にとってたとえ任務であったとしてもターゲットの子供の命までは取れない。家族を愛する気持ちが表れたシーンだと思いました。他にも爆薬の力が強すぎて他の人間たちまで巻き添えにしてしまうかたちや銃による暗殺など多岐にわたり、「プライベートライアン」や「シンドラーのリスト」のリアルで生々しい映像が今作でも映し出され圧巻させられました。
 スパイアクションとしても観ることができるし次第に自分の行動に疑問を持ち始める主人公の心の推移を映し出したドラマでもあるし、実際の背景を基にした史劇でもある。貴重な映画だと思いました。
 また主演のエリック・バナをはじめダニエル・クレイヴ(『007』)、ジェフリー・ラッシュ(『パイレーツ・オブ・カリビアン』)、モーリッツ・ブライプトロイ(『素粒子』)、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ(『プロヴァンスの贈り物』)など実力派俳優たちが出演し特に後者二人はセリフが少なく映る時間も少ないのに映画に出ているところはスティーブン・スピルバーグの知名度、映画への注目度が高さがうかがえます。
2008-07-24
考えよう。
1972年のミュンヘンオリンピック開催中に起きた黒い9月事件、それに対するイスラエル政府のパレスチナへの報復活動を描いた作品。

この映画についてスピルバーグは、これは事実を描写した映画ではなく、事実をもとにして描いたフィクションであるという主旨の発言をしている。
しかし私がそのフィクションを観て思い浮かべるのは、いまそこにある、解決もつかないし納得も出来ない、どうしようもない現実である。
そして様々な疑問が沸き起こってくる。

ユダヤ人、イスラエル、パレスチナ。
何故ユダヤ人は歴史上のいつどの点においても厄介者扱いされ、迫害を受け続けてきたのか。
ユダヤ人もパレスチナ人も何故あのイスラエルの土地に固執するのか。
約束の地とは何か。
キリスト教ユダヤ教イスラム教は何が違うのか。

それらの問題のどれもが今を生きる多くの日本人にとって馴染みがうすく、どうしても分かりにくい問題である。そしてそれらについて全く無関心であると、この映画を観てもいまいちピンとこないのではと思う。
しかしそこには間違いなく人間にとって普遍的な問題がある。

われわれ人間は何故殺しあわなければならないのか。
いつまでそれを続けるつもりなのか。
「平和」のために「殺しあう」という矛盾。
戦争とは。差別とは。宗教とは。国家とは。平和とは何か。


日本人はユダヤ人と彼らに関する諸問題それ自体に直接関係しているわけではないかもしれないが、その問題を通じてわれわれが考えるべきことはいくらでもある。
この映画はそれらの問題に関心を持ち、考える一助となれば良いのではないか。
そうやって改めて問題提起するためにスピルバーグはこの映画を撮ったのだろうと思う。
2008-02-04
いい加減な映画
 よくできた映画かそうでないか。見るときの視点はただひとつ。作意がどれだけ映像で表現できているか、ではないか。たとえ悪徳ギャングが主人公の映画であっても、その犯罪の計画、実行、そして結果が手順を踏んで、見る側が納得できるストーリーになっているかどうか、である。
 そして、作中の人物が生きた人間としての実在感があるか、映画にかぎらず、芸術作品を鑑賞するときのポイントはそこにあるだろう。その観点からすると、本作はいい加減という他はない。テロリストを探し出して撃つまでの準備、困難そして苦しみは筆舌に尽くせないものにちがいない。この映画ではそれが何もない。
 スピルバーグが言いたいことはわかる。しかし、いくらメッセジーが崇高でも、それと映画の評価とは別の問題。

2008-01-29
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