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20世紀少年―本格科学冒険漫画 (15) (ビッグコミックス)¥530小学館 0![]() |

(西岡昌紀・内科医/地下鉄神経ガス事件から13年目の日=イラク戦争開戦から5年目の日に)
ここでストーリーは急に登場人物を増やし、ルチアーノ神父や、新宿の元ヤクザの司教とローマ法王とのかかわりなどののエピソードを交えてゆく。こうしたエピソードを書かせると、浦澤直樹はうまいんだなぁ・・・。
本巻のラストはいくつもの意味で、衝撃的・・・。
というのは、オリジナル作品である『MONSTER』『YAWARA』『HAPPY』『PURUTO』等々は、すべてパロディに自覚的で、非常に単純で「ありがち」な設定の反復になっている。とりわけ、決してどれも独創性があるわけではない。プルートは手塚治虫先生の鉄腕アトムの傑作『地上最大のロボット』と彼のRobotの考え方のベースにあるアイザック・アシモフのロボット三原則への見事のオマージュになっている。また『20世紀少年』も、オウムに代表されれる終末的な世界観では、あまりのありきたりな内容の反復に過ぎない。いわば、駆け引きと刺激に慣れすぎた日本のドラマに飽きた世代が、韓流ブームでキスもしない純愛の韓国ドラマ『冬のソナタ』(ユンソクホ監督)に回帰したのに似て、断片的なパロディシステムではなく、骨太の物語への回帰をしているといえる。
しかし、そんな「ありきたりの設定」でなぜここまで、見事なメジャー的な人気を保てるのかというと、それは彼が骨太な物語の語りや漫画的手法の文脈を、洗練しているからではないかと思う。いってみれば、骨太の物語を語る上での浦沢的「文法」が極度に洗練されて構築されているからではないかと思う。詳細は省くが、例えば新興宗教や70年代のロックや昭和時代の文物などノスタルジーのパロディ的引用(池袋のナンジャタウン!)に非常に自覚的だし、『パイナップルアーミー』『マスターキートン』で完全に自分のものにしたヨーロッパや世界を描く手法によるスケールの広がり等々。
一言で言うと、創造力の飛躍を核とするSFのセンスオブワンダーを含めて、骨太の物語を、日常から浮き上がらない形でわかりやすく丁寧に構築する技量を持っているのだ。そういう意味では、独創的なエンターテイナーというよりは技術者に近いのだが、逆に言うと骨太の物語の語り部こそが真のエンターテーナーなのではないかと、僕は思います。
久々に☆10個です。
とにかくこれだけ人を熱くさせる浦沢直樹という才能に感謝と敬意を表したい。漫画でも直木賞あげてもいいくらいだ。












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